住宅街で見つけた素敵カフェ《そらいろ》
ひっそりと存在する本当の理由とは……

2017年9月14日
そらいろ ふじみ野 コミュニティ食堂

「コミュニティ食堂 そらいろ」さんは以前はふじみ野市のヤオコー前にあり、当時は古民家風のおしゃれカフェで気になっていましたが、今年の6月に富士見市に移転なさったと聞いて追いかけてみました。
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新店舗はエコパ近くの住宅街の奥まった場所にあり、外観は至って普通の住宅。
看板も小さくて見落としてしまいそう。
「隠れ家風」というよりも、商売っけがまるでない印象を受けます。
でも一歩中に入ると内装はとってもおしゃれで居心地がいいし、食事は超!おいしいし!と勢い込んで取材を敢行しました。
そこでこのお店の存在理由に衝撃を受け、「あんまりやる気なさそうなお店だな」なんて失礼なことを考えた自分たちを猛省しました…


詳細は後述するとして、まずはお店のご紹介から:

窓から見える自然風景がすがすがしいこのカフェは、オーナーの小林夕紀恵さんが中古住宅を買い取ってリフォームしたもの。
壁を抜いたり押し入れをトイレにしたり納戸をキッチンにしたり、大胆に改造したそうです。
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⇧ナチュラル素材のテーブルや椅子は、田舎の学校みたいな懐かしさ


広いの店内の割にテーブル数が少ないのは、小林さんの心遣い。
曰く、「テーブル同士がぎゅっと近いと落ち着けないですもんね」


店舗はイベントスペースとしても使用します。
「キャンドルナイト」や「親子イベント」など定期的にイベントを開催し、地域の方々の交流の場を提供しています。
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⇧親子イベントの告知ポスター


店内にはちょっとした読み物が置いてあったり、かわいらしいアクセサリーが展示してあったりと、楽しい仕掛けがいっぱい。
注文を待つ間もうろうろせずにはいられません。
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そしてお待ちかねのお料理!!
ランチは常時3種類。
「本日のランチプレート」・「今月のボウルランチ」・「カレーライス」から選びます。
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⇧8月の「ナムルボウル」。むっちゃくちゃおいしいです。
どの具も最高ですが、特ににんじんが衝撃的なおいしさ!にんじんだけで白飯がすすむ〜



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⇧こちらは「カレーライス」。甘酸っぱいルーは子どもでもおいしく食べられそうです


もちろんお食事だけじゃなく、スイーツやドリンクも充実です。


お店を切り盛りする若き店長・小林さんは、暖かいお人柄のにじみでる素敵な女性です。
とても話しやすい雰囲気の方なので、色々と突っ込んだお話を聞いてしまいました。
以下インタビューです。

―お味も最高ですが、見た目も彩り豊かですごくキレイですよね

「目でも楽しんでいただけるようにこだわっています。
このナムルボウルの盛りつけを決めるのは苦労しました!
メニュー化する前に友人5人に来てもらって、ああでもないこうでもないと話し合ったんですが、なかなかおいしそうな配置にならなくて」
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⇧盛りつけミーティングでの候補たち。(写真提供:小林さん)
たしかに、商品化されたものが一番おいしそうです…


―盛りつけにこだわるのは昔からですか?料理学校で習ったとか?

「いえ、私は料理学校は出ていません。前職は学校教員やNPO職員だったので、飲食店経験もゼロなんです。」


―えっ?!じゃあどこで料理を覚えたんですか?

「亡くなった母から教わりました。母は栄養学が専門で、家ではおやつまで全て手作りしてくれました。
私は食にまつわる全てを母から叩き込まれました(笑)。小学校低学年から、自分の誕生日ケーキは自分で焼いてましたよ。
“器・盛りつけまでが料理”というのが母の教えで、食事の支度を手伝っているときに“お皿出して”と言われて適当なお皿を選ぶと、“このお皿でこのお料理がおいしそうに見えると思うの?!”って叱られたり。
当時は面倒にも思いましたが、今となってはとても感謝しています。
そらいろをオープンするときには、母のレシピノートを参考にしたんですよ」


―日替わりプレートや月替わりボウルなど、決まっていないメニューが多いですよね。
客としては楽しいですが、毎回考えるのは大変じゃないですか?

「いえ、もともとはメニューのないお店にしようかと思ったくらいなんですよ。
おうちのお母さんが出すごはんみたいに、“今日は何かな”って楽しみに来ていただきたくて。
日替わりプレートはそうやってわくわくしてもらえたらうれしいです」


―お店の内装もおしゃれで素敵ですし、窓から見える田んぼの風景にはすごく癒されます

「それ、こだわりなんです!この場所に移転した理由のひとつは、窓からの一面の緑が気に入ったのと、お庭が広くていじりがいがあるからなんです」


―展示してあるアクセサリーも可愛くてほしくなっちゃいますね

「友達が作ってくれているんですけど、彼女ちょうどそこにいますよ」


えっ?!
なんと、アクセサリーブランド「HONEYCOMB BEAM」のデザイナー・国文亜莉沙さんが隣のテーブルでドリンクを飲んでいらっしゃいました。
こうやっていろんなジャンルのご友人が集うのも、小林さんのお人柄を感じます。
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⇧こんな可愛いアクセサリーも店内で購入可能!

…と、ここまでは「雰囲気の良い素敵なカフェ」のご紹介になっていますが、
冒頭で申し上げた通り、ここは普通のカフェであって普通のカフェではありません。
何故こんなにも商売っけがないのか?何故店名に「コミュニティ食堂」とついているのか?
その理由は以下のインタビューからどうぞ。

―小林さんがそもそもカフェをやろうと思ったのは何故ですか?

「いろんな子ども達が、地域の中で育っていける場所を用意したかったんです」


―???

「もともと私は社会教育が専門で、ニートや引きこもりの若者の就労支援をおこなうNPOで働いていました。
そこで実感したのが、一度ニートになってしまうと復帰にすごくエネルギーがかかるということです。
そうなる前から支援していくにはどうすればいいのか考えたとき、公的な支援とは別の、立ち寄れる場所をつくりたいと思いました。
親でも学校の先生でもない、地域の大人達と気軽に話をできる場所を提供したいというのが“そらいろ”オープンのきっかけです。
カフェである必要はなかったんですが、私が料理好きというのもあり、いろんな人が継続的に立ち寄れる場所として、カフェという形態を選びました」


―そ、そういうお店だったんですか。全然気づきませんでした。てっきり普通の素敵カフェかと…

「そう思っていただいてうれしいです。あまり広報していませんし、来てくださっているお客さんのほとんどは普通のカフェだと思っていらっしゃると思います。」


―たしかに、店名に“コミュニティ食堂”ってついていますもんね。
でもコミュニティカフェっていうと、地元のNPOとかが公民館とかにパイプ椅子を並べてやっているようなイメージしかありませんでした

「そういうところが多いですよね。そらいろは長期間続けて行きたいので、経営面できちんと成り立たせる必要がありました。
そこで一般のお客さんにも継続して来ていただけるように、まずはカフェとしてしっかりつくることを念頭に計画しました。
私も色々なコミュニティカフェに顔を出していたんですが、どこも割とすぐ終了してしまって、なかなか長期で続けているところが少なくて。
通っていた場所が無くなるってとっても寂しいんですよ。
続けられないのはひとつの課題に特化したところが多いせいかもしれません。“高齢者の弧食を防ぐ”とか“引きこもりの子を支援する”とか。
そうするとその課題に直面している方々以外の人たちが入りにくくなり、経営を持続するのが難しいんじゃないかなと思ったのです。
そらいろを子ども達に“いつでも行ける・帰れる”と感じてもらうためは、安定してずっと続けることが何より大切だと思うので、普通のカフェとして広く一般のお客さんにも来ていただける店にしたかったんです」


―具体的にはどんな活動をしているんですか?

「“manabi舎そらいろ”として、勉強をする場所を提供しています。
勉強を通じて、子どもたちのしんどさや楽しさ、いろんな感情を受け止められる場所になれればと思っています。
今日も夕方から子ども達が勉強をしに来ますよ。小中高生が9人くらい。
うちは塾じゃないので勉強をみっちり教える訳ではないですが、子ども達がそれぞれ宿題をやったり、わからない問題を持ってきたりしつつ、いろんな話をしてくれます」


―子ども達はどうやってこの場所を見つけるのですか?

「親御さんが先に口コミでこの場所を知って、ご相談にいらっしゃることが多いですね。
行政の窓口やNPOに行くには敷居が高いと感じたり、そこまで深刻ではないけれどどこかに相談したい、という状況のご家庭が多いです。
もちろん、話を伺って必要だと判断した場合は公的機関や病院の受診をお勧めすることもあります」


―子どもひとりひとりとじっくり関わるのって、かなりエネルギーを使いそうですね

「ええ、今来てくれている子達が関われる人数としてちょうどいいので、広報は控えています。
ひとりの子との関わりが数年に渡ることも珍しくないですし、キャパオーバーして適切に関われなくなってしまっては困るので。
前に進むにはひとりひとり必要な時間が違いますから、その子のペースでじっくりと話を聞き、
学校の先生とも違う、子どもと私が横並びやななめの関係でいることを心がけています
はじめは“僕なんて生きてる価値ないです”と言っていた子が、3年後には“働こうと思う”と言ってくれたときはとてもうれしかったです」


「うちには不登校の子も来ますが、私は基本的には“学校には行くべき”というスタンスで接しています。
NPO時代に、学校を辞めた子達のその後の苦しみをよく見てきたので、無責任に“行かなくてもいいよ”とは言えません。
学校を続けられなかったという負い目は、本人の中で一生ついてまわります。
学力の問題ではなく、“学校に行ききった!”という達成感を、子ども自信が経験から得られることが大切だと思っています」


―どうしてそんなに愛情深く、子ども達に尽くそうと思えるんですか?

「もともと子どもと関わるのが好きなんです。あとは、母の影響が大きいかも。
“料理にしても何にしても、自分の為だけじゃなくて、誰か困っている人の為に時間を使いなさい”ってよく言われていました。
私、本当は学校教員を続けようか迷っていた時期があったんです。やっぱり安定してますし(笑)。
でも母に相談したら、“あなたが好きなことをやりなさい。先生も良いけれど、学校の外にも困っている子どもはたくさんいるよ”って背中を押してくれました」


―店名の“そらいろ”とはどういう意味が込められているんですか?

「以前の職場では、一日に20名近くの相談を受けていました。主にニートと呼ばれる若者達です。
働きたいと思いつつなかなか踏み出せない葛藤から感情の揺れ幅が大きく、ある日は笑顔で元気いっぱいだった子が、数日後に会ったら号泣している、というのも珍しくないんです。
その様子が、晴れや曇りやいろんな空模様に似ているなって感じていました。
このカフェは、晴れの日だけじゃなくてどんな気分・空模様の時でも“ここに来ていいんだよ”って言ってあげられる場所にしたいと思って名付けました。
でも覚えにくいみたいで、よく“あおぞら”って間違えられちゃうんですけど(笑)」


―これからそらいろをどんな場所にしていきたいですか?

「とにかく長く続けたいです。子ども達がいつでも戻って来れる場所でありたい。
人生で良い時期には忘れてていいんですけど、しんどいときに思い出してほしい。
でもそのときお店がつぶれていたら意味が無いですから。
私自身、気持ちがブレそうなときは大学時代の先生に会ったり、大切な場所に行ったりして自分を取り戻します。
子ども達が揺らいだときに崩れない場所でありたいと思っています」


―もしうちの子が不登校になったら相談に来てもいいですか?

「もちろん!でもできれば、そうなる前から継続してお会いしたいな(笑)」


―まだうるさい幼児達ですけど、連れて来て大丈夫でしょうか??

「大歓迎です。赤ちゃん連れのママもたくさんいらっしゃいますよ。3人産んだママさんがいらっしゃるんですが、うち二人はそらいろで外食デビューしてくれました。うれしかったです」

《トコフジ記者 文:いずもん・写真:アラタ》

【店名】コミュニティ食堂そらいろ
【住所】埼玉県富士見市東大久保355−3
【電話】049-293-1869
【営業時間】火曜日ー土曜日 11:00〜17:30(L.O 17:00)
【定休日】日・月
【駐車場】有

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