30年前に途絶えたお祭りを復活?!
第一回苗間東町会夏まつり

2017年10月13日

少子高齢化に直面するこの国では避けられない状況かと思いますが、全国的にお祭りは減少傾向にあるそうです。
地元のお祭りが活気がなくなり衰退していくのを見るのはさみしいものです。
そんな中、ふじみ野市苗間東地区では、この夏なんと新しいお祭りを立ち上げました!
正確には、30年前に途絶えたお祭りを復活させたんだそうです。
それが、苗間神明神社で行われた夏祭りです。

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⇧輝かしい「第一回」の文字!

トコフジでは、お祭りの体験レポートと、実行委員長のインタビューをお送りします。

■昔ながらのお祭りのにぎわい

去る8/6(土)。
上福岡七夕祭りも盛大に行われたこの日、神社の境内でこじんまりと行われたのがこの第一回苗間東町会夏まつりです。
炎天下の暑い暑ーい日中でありながら、幼稚園児から高齢者まで大変な賑わいでした。
境内に建つ趣きある神楽殿では、地元の和楽器サークルの演奏が行われています。
フードブースに並ぶのは流しそうめんにお団子、かき氷、地元のパン屋さんの焼きたてパンなどなど。
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⇧フードブースは長蛇の列

チビッコブースでは《射的》や《あひるすくい》、《スイカの種飛ばしゲーム》などを、1ゲーム50円程度というほっこり価格でやらせてくれます。
子供達が戦利品のおもちゃをたくさん抱えてうれしそうに遊びまわっていました。
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⇧50円前後でできるゲームがたくさん!

開催は10時から14時という一番暑い時間帯でしたが、炎天下でしんどくなったら境内の集会所でゆっくり休憩できたのが大変ありがたかったです。
集会所の広い畳部屋で、赤ちゃん連れや高齢者の皆さんがのんびり休んでいる様子に、お祭りのあたたかい雰囲気を感じました。

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⇧休憩所からゆっくりお祭りを見ることができます

地元の消防団の消防車も停まっており、消防団のお兄さんが運転席に子供達を座らせて撮影させてくれました。

大迫力の和太鼓演奏は、越生町の《武蔵越生高校》の和太鼓部《青龍》によるものです。
なんと全国大会出場の強豪チーム。
部員の中にこの町内出身の方がいたために出演が実現したそうです。
大太鼓を豪快に叩く男子に、小太鼓で粋な間の手を入れる女子。皆さん本当にかっこ良かったです。
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⇧武蔵越生高校・和太鼓部の演奏

全体的に、商業のにおいのしない昔ながらの手作りのお祭りといった風情で、心があたたかくなりました。

あんまりに素敵なお祭りだったので、一体どんな方々がどんな動機と経緯で立ち上げたのか、とても知りたくなって、後日主催者に取材を申し込みました。
ご多忙の中インタビューを快く受けてくださったのは、実行委員長にして町内会長の安野儀雄さん(みほの幼稚園の園長先生でもあります)と、
地元の和楽器・阿波踊りサークル《みほの連》マネージャーの麻生民子さんです。

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⇧安野さんと麻生さん。とても懐の深いお二人です。

■町内会の加入率を上げたかった

―お祭りを立ち上げることになったいきさつをお聞かせください。

(安野さん ※以下‘安’)「僕は去年から町内会長をやることになったんですが、なってみてびっくりしたのが、苗間東町会は町内会の加入者がとても少ないんです。
加入率36%で、ふじみ野市内57町会のうち53番目。
駅近なのでアパート・マンションが多いのも理由のひとつではあるんですが、とにかくこのままではジリ貧なので、町内会に魅力を感じてもらう為に何か企画を考えなくちゃと。
今までは親睦旅行を開催していたんですが、それでは町会費の還元が旅行参加者40名だけに偏ってしまうことが問題でした。
お祭りなら、小さい子供からお年寄りまで全ての人に楽しんでもらうことができます」


―町内会を盛り上げる為の施策だったんですね。

(安)「はい。3.11の後でお祭りが地元復興のシンボルになっていたのを見て、お祭りは人と人とを結びつけるのに大切な存在だと改めて感じたこともあります」


―30年前に途絶えたお祭りを復活させたということですが。

(安)「僕が子供の頃は、この苗間神明神社で毎年盆踊りがありました。
聞いたところによると、僕の母は婦人会の活動の中心で頑張っていたそうです。
あの頃の神社のにぎわいを再現したいという思いがあったんです。
といっても30年前のお祭りをそのまま復活させるのではなく、今の時代にあった形にしたかったので、集まりにくい盆踊りではなく皆が楽しめる催しをと麻生さんに相談させてもらいました」


■お祭りの運営は試行錯誤

―麻生さんはお祭りの運営にお詳しいんですか?

(麻生さん ※以下‘麻’)「いいえとんでもない!お祭りの立ち上げそのものに関わるのは初めてなんです。
私は“みほの連”という団体で和楽器と阿波踊りをやっていて、ひと夏に10件以上のお祭りに参加しています。
その関係でいろんな自治会の方とお会いする機会があるんですが、安野先生ほどパワーと行動力のある方を見たことがありません。
この人になら協力したいと心から思いました。
最近ではどこでもお祭りが減っていますよね、商店街からの協賛金が集まらないのが大きいみたいです。
そんな中で安野先生からお祭りをおこないたいと聞いたときには本当にわくわくしました」


―麻生さんはゲームコーナーの企画を担当なさったそうですね。

(麻)「私は以前苗間東子供会の運営に関わっていたこともあり、多少は出店のノウハウがあったので、子供向けコーナーの企画をやらせていただきました。
ちなみに去年その子供会も廃止されたそうです。大井町にあった公認子供会(注)14団体のうち最後のひとつでした」
  《注 公認子供会:ふじみ野市から援助を受け、市のイベントへの参加義務のある子供会。
    市から独立した民間の子供会はまだいくつか残っているそうです》


―ゲームコーナーは内容盛りだくさんで、価格もとっても良心的だったので、子供に大人気でしたね。

(麻)「子供達が想像以上に喜んでくれて、うれしかったですね。
利益目的じゃないので、収支はトントンから僅かな赤字になるように価格設定しました。
500円も持ってくれば‘今日はいっぱい遊んだー!’と思えるおまつりにしたかったんです。
スタッフ側は全員お祭りの運営なんてはじめての素人でしたが、みんなでがんばりました。
たとえば、射的が飛びすぎちゃったので、当日は幕を張って外に飛んで行かないようにしたり。
みんなで四苦八苦しながら工夫して楽しんでもらえるお祭りを作り上げました」


―それにしても、昼間のみ開催のお祭りって珍しいですよね。上福岡七夕まつりに行く途中で、気軽に立ち寄れる感じでうれしかったです。

(安)「夜は安全対策を整えるのが難しいので、昼間だけになりました」
(麻)「子供同士でも来れる時間帯になったので、結果的に良かったですね」


■町内会員にも参加は強制したくない

―具体的に、どうやってこのお祭りを作り上げていったのですか?

(安)「町内会の班長が80名程いるので、まずこの人たちに声をかけました。
参加は強制しないと決めていましたので、あくまで自由意思でやりたいと言ってくれた10数名に手伝ってもらいました。
それから、普段神明神社の集会所を利用している9団体にも声をかけました。
そのうちのひとつが麻生さんのみほの連ですね。あとは社協さんが流しそうめんを買って出てくれました。
他にもボランティアを申し出てくれた方々を含め、スタッフは総勢70名くらいです」

(麻)「9団体といっても、短歌会の集まりとかシルバー人材センターとか、お祭りと関わりの少ない団体も多かったので、一番お祭りに長けたうちが喜んでお引き受けしました」


―安野先生はお祭りの運営のご経験がおありなんですか?

(安)「いやあ、幼稚園のおまつりで多少は分かっていたかもしれませんが、たいした経験はありませんよ。自分の子供の学童まつりを手伝ったくらいです」

(麻)「でも企画のたたき案や資料はほとんどすべて安野先生が作ってくださったんですよ。
実行委員会の席では関係者からいろんな意見が飛び交いましたが、先生は常に冷静に意見を調整して場を納めていらして、すごいなと思いました」


■お祭りを終えて

―お祭りの参加者はどれくらいでしたか?

(安)「はっきりとは言えませんが、模擬店の売上数から算出するとだいたい1,000名くらいの方が来てくれたようです。」

(麻)「大勢きてくれましたね!みんな楽しんでくれたみたいで、年配の方からは“同窓会みたいで楽しかった”と言われました。
30年ぶりにお祭りに足を運んだら、当時の知人に会えたんですって」


―お祭りの運営にかかる費用って想像がつかないのですが、どんな感じなんですか?

(安)「町会予算20万円と市からの補助4万円に、いただいたお祝い金を足して収支はほぼトントンになりました。
当日はお団子300本、生ビールは120杯くらい売れましたよ。暑かったのでかき氷が売れすぎて足りなくなっちゃって、途中で氷を買い足しに走りました」


―お祭りで町内会の加入者は増えましたか?

(安)「すでに数件のご家庭から、入りたいと声をかけてもらっています。
この町に引っ越してくる前に別の町会で嫌な目にあったという方も、加入を前向きに検討してくれています。
この人は前の町会で出産直後に役員が回ってきたのでとても続けられなかったそうなんですが、うちの町会は役員の強制をできるだけやめて、民主的な組織にしていきたいと思っています。
役員が交代する時は、役員本人が後任を探して来なきゃならないという伝統があるんですが、これでは新しい人も入って来れない。改善して行きたいです」


―ふじみ野市は子育て世帯の転入の多い市ですが、この町にも新しい住民は増えていますか?

(安)「そうですね…徐々に畑が住宅地に変わって、少しづつ若い世帯も入ってきています。
旧住民と転入組とが一緒に町を盛り上げて行く風土を作って行きたいです」

(麻)「とは言っても、うちの町会はよそと比べてもかなり解放された組織だと感じます。
町会っていうとどうしても古い住民の意思が通ることが多いけど、ここでは私をはじめ新しい住民の意見も聞いてくれますから」


―とても素敵なお祭りだったので、来年以降も続けてくださったらうれしいです。

(安)「もちろんそのつもりです。
今は実行委員会と町内会の切り分けが曖昧ですが、今後は分けて実行委員会を独立した組織にしてきたいですね」


安野会長のリーダーシップと冷静な実行力のもと、地元の皆さんの町を想う熱意で実現したお祭りだったんですね。
来年以降どんな風に発展していくのか、とても楽しみです!

《トコフジ記者 いずもん》

【公式ページはこちら⇩】
みほの幼稚園
:安野先生が園長をなさっている幼稚園。地域住民に向けた講演会なども行っています。
みほの連:麻生さんがマネージャーをなさっている阿波踊りと和楽器のサークル。いろいろなイベントで迫力のパフォーマンスを見せてくれます! 


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