三芳町で野菜の無肥料自然栽培をされている《明石農園》さん。地域イベントを開催したりフェスやマルシェでの販売など、私たち市民に身近な農家さんです。無肥料自然栽培って何だろう？など、お野菜や農業にまつわる取り組みのお話を聞かせていただきました。

マチフェス出店では冷製スープも人気でした！

「自然とかかわる仕事がしたい」農業経験ゼロから始めた農業

明石さん「東京都板橋区出身で農業経験ゼロだった私は、2002年に富士見市にある渋谷有機農園さんに弟子入りして農業修行をしました。渋谷さんには大変お世話になり、家族の様に受け入れてくださいました。1年経った研修後に就農先を決める際、すでに新規就農者がいる神奈川県津久井郡か、新規就農者の前例なしで畑を見付けにくい今の場所とで悩みました。その時母親からの『研修先に恩を返すことがまず先』の言葉に納得し、師匠のいる富士見市近郊で就農することを決めました。まずはやれるだけやってみて、ダメならそこからまた考えれば良いと腹をくくった次第です。お陰様で実家からも1時間以内、昔からの友人や研修先と人との繋がりを保ったまま、ここ三芳町で就農することができました」

無肥料自然栽培だと何が違うのか

「無肥料と聞いて、養分を吸っていないようなイメージを抱いてしまいますが、養分はしっかり供給されています。山の木々は肥料をもらわなくても、植物の腐植、生き物たちの亡骸、菌根菌などの土壌微生物が養分を供給しています。その土壌微生物からの養分供給を利用しているのが、無肥料自然栽培です。ですから、野菜の根の広さが違います。共生してくれる微生物たちを野菜自身の力で探さないといけない為、そうしてできた野菜は抗酸化力が強いのが特徴で、腐りにくいです。食味も甘味、酸味、苦味のバランスがよく、喉越しがすっきりして、噛みごたえがあるのが特徴。食べた時の、生き物を食べているという実感が違う気がします。これは実際に食べてみないと分からないので、ぜひ一度自然栽培のお野菜を食べてみてください」

子どもを育てる様に丁寧に作業

年間60種類のお野菜を栽培

「トマト、きゅうり、大根など一般的なお野菜はほぼ栽培しています。全て固定種※で、年間60種類の野菜を栽培し、うち40種類を自家採種しています。変わった野菜では、山東菜（白菜のような菜葉、炒めても漬けてもサラダでもとにかく美味しい）、王滝かぶ（皮が紫色で中が白いカブ。食味が良くてフライにするとジューシーでとっても美味）、スイカ（シマ無しで昔ながらのスイカは皮が薄く割れやすく、肉質が緻密で甘さがちょうど良い。これを食べておいしさにびっくりされる方は多いです）、大豆枝豆（行田在来大豆が大豆になる前に２週間だけ食べられる香りがとても良い枝豆）など、一般市場では出回らない、昔から味が良いが輸送性が悪い、見た目で敬遠されてきた野菜を食べることができます」

※固定種：品種の系統を守るため選抜した野菜の種を取り、その種を蒔いて育てた中から、また一番良いものを選んで蒔く・・といったことを何代も繰り返して作られた野菜のこと

瑞々しい野菜と甘いスイカ

人気のお店でもあかし野菜が選ばれています

「お野菜を卸させていただいております、ふじみ野市にあるboosterさんはお料理も美味しく、店員さんも皆さん元気で素敵なお店です。皆さんで明石農園のサツマイモ掘りにも来てくださいました！そして、鶴瀬にある3552食堂さん。ビストロ料理が素晴らしく、天然酵母のパンも焼いています。シェフの成田さんとも10年近いお付き合いです。東武東上線沿線にある居酒屋大ビッグさんにもお野菜を納めさせていただいております。オススメメニューで自然栽培の文字を見つけたら、是非一度ご賞味下さい」

左：boosterさんのお料理　右：サンスマイルさんでの店頭販売時

採れたてのあかし野菜をお手元に

ふじみ野市にあるサン・スマイルさんでは、年間を通してあかし野菜や全国の自然栽培野菜が入手できます。

明石農園のオンラインショプからも購入することができ、お野菜以外にもうどん、米粉、ビスケットなど加工品も取り扱っています。新鮮な野菜の箱詰め あかし野菜定期便もございます。

定期便の旬な野菜（時季により内容は変わります）

商品撮影をする明石さんとクロネコの雷ちゃん

農作業に参加できる楽しいイベント

明石農園さんでは『腑に落ちる体験事業』が理念の大きな柱になっています。

「就農当初から『もぎ取りイベント』は毎年行ってきました。夏・秋と宅配のお客様を中心に、またご希望のある場合は様々な特性のあるお子さまのグループでも行っています。他にも、『農のある暮らし体験』として貸し農園もスタートさせました。もちろん自然栽培での家庭菜園となっています。区画に限りはありますがご興味のある方はご連絡ください」

体験参加した皆さん、とにかく楽しそう！

自分で採った野菜は格別に美味しい

農業と人を繋ぐ取り組み

利用者さんやご家族と共にそれぞれの特性に合わせて畑での農業活動を進めるノウフク（農業福祉連携）や誰でも無肥料・無農薬の農業が学べるソラシドスクール。その他に就農支援研修や農業体験・ファームセラピー、援農募集（地域や近隣の住民による農作業のお手伝いの募集）もされています。

▶︎詳しくはこちら

左：お手伝いのみなさんと収穫作業　右：青空と大豆の苗

ホームページでは農園だよりやあかし野菜で作った料理の画像など、参考になるコンテンツも豊富なのでぜひご覧ください。

毎日の食卓に並ぶ野菜も、地元で作られる野菜や農家さんについて知るとさらに美味しくいただける気がします。ぜひ無肥料自然栽培の野菜を食べてみてください！

《ライター：jima》